先週の日曜日に、リー・シェンロン首相が毎年行っている施政方針演説(英文名:ナショナル・デー・ラリー)を
見ました。

演説だけでなく、映像を多用したプレゼンテーションにより、子供でも老人でも分かりやすい内容です。

またシンガポールらしく英語だけでなく、マレー語と中国語でも演説し、さすが多民族国家のリーダーであると思いました。

昨年はMOM(人材開発省)が外国人雇用規制のためにあらゆる施策を打ち出しました。

ナショナル・デー・ラリーで首相も、シンガポールは外国人の受け入れに寛容であるものの、シンガポール人の雇用を優先することに大きく触れていました。今年のナショナル・デー・ラリーも「また何か言ってくるかな」と少々ドキドキして見ていましたが、外国人雇用に関することには特に触れませんでした。

昨年出しすぎでもう材料がなくなってしまったのかと思いましたが、正直なところ、シンガポール人のホワイトカラーの間では外国人に職を奪われていると思っている人はほとんどいません。政府が危機感を募らせてさまざまな施策を打ち出し締め付けていることに、シンガポールの地場系産業からも反対意見が出ているほどです。

そもそも2013 年1月に打ち出した「人口白書」で、2030年までに人口を690 万人まで増やすという目標数値を出したところまでは良かったのですが、その内の外国人比率が40%となっており、現行の29%からさらに増えることが問題視され、反対野党に煽られた国民(特にワーカー層を中心とした低学歴層)によるデモ集会に発展しました。

ただ、経済成長を維持するためには、外国人労働者・移民の役割が大きいことは、演説でも再三触れており、シンガポールにとっては一つの大きなジレンマとなっています。

そのシンガポール人雇用優先策であるFCF:フェア・コンシダレーション・フレームワークの一環として8月1日から官営の求人求職サイト「ジョブズ・バンク」が始まりました。

求人掲載の条件は、会社の社員全体が25 人以上で、外国人(外国からの駐在員や現地採用も含む)を雇用する際に14 日間同じポジションをジョブズ・バンクに掲載しなければならないことになっています。

とある会社の人事担当者は「ただ単に14 日間出せばいいんでしょ?」とそれほど真剣には受け止めていないし、そもそもそのサイトから優秀な人材が集まるとは思えないと冷めた調子でした。

また、求人広告を出すにあたり、「シンガポール人とシンガポール永住権(PR)保持者のみ」の記載は不可であり、シンガポール人オンリーにしなければならないのにも関わらず、PR保持者も何故か使用可能と、矛盾点も垣間見られます。求人広告の「シンガポール人のみ」の中にPR保持者も含まれているという「暗黙の了解」を意味しているのであれば納得ですが、PRの扱いに関しましては未だに結論が出ていないことが露呈しています。

ただ、幅広い業界・業種から約6万2,000 件の空きポジションが常時掲載されており、従業員数が25 人以下の中小企業の利用も可能なことから<無料求人広告媒体>として今後着目される可能性はあります。

弊社も実際に求人広告を出しましたら、夜中の1時ごろに昼間応募してきた候補者の情報が届きました。使う側としてはサイトの色調も含め、まだまだ改良の余地はあると感じます。

今回の施政演説の中でジョブズ・バンクのことは一切触れなかったことを鑑みますと、政府としては国民の雇用優先のためにあらゆることをしてきたということを単にアピールするための「道具」なのかもしれません。

それとも民間のジョブマッチ関連会社を凌駕(りょうが)するような素晴らしいサイトに発展させていくのかで、政府がシンガポール人の雇用優先に取り組む姿勢が見えてきます。


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