先般、シンガポール国立大学(NUS)の公共政策研究所(IPS)などの調査で、(中華系と比べ)マレー系やインド系のシンガポール国民の70%が、採用の面接時や職場において差別感を持っているとの報告がありました。

シンガポールの総人口の内シンガポール国籍を持っている人は全体の60%程度で、その中の民族構成は、中華系がおよそ75%、マレー系が13%、インド系が9%となっています。

筆者が長く住んでいるHDB(公共住宅)は、居住者の民族分布が決まっており、一つの民族が固まらないようになっています。

筆者は永住権保持者日本人なので「OTHER」で購入することができましたが、ある一定の民族の率が上限値に達するとそのHDBには居住(購入)できないことになります。

現在弊社では日本から進出されてきた流通業、飲食業のお客様の採用面接を毎日行っております。

シンガポールでは募集広告を出す際に、言語、年齢、宗教、性別、婚姻状況で差別してはいけないことになっております。

その中でシンガポール政府が特に厳しく目を光らせている禁止事項が「民族」です。

シンガポールでは「Multiracialism」(多民族共存)が大原則ですので、この部分で差別感があることは国体の根底を覆すことにもなりかねない為センシティブなマターとなっています。

最近ではこの禁止事項に「国籍」が加わりました。

「フィリピン人歓迎」とか「できればシンガポール人以外優遇」等の募集広告が出回り、民族差別よりシンガポールにとってはさらなる重要禁止条項となりました。

では、実際には「差別」はあるのかと言いますと、現場的に間違いなくあります。

例えば調理職に関しては、豚肉を扱うことからイスラム教徒が大多数を占めるマレー系での採用は見送る傾向があります。

この場合は「豚肉を扱う」と募集広告出せば問題ないですが徐に、「中華系優遇」と出してしまうと民族差別になります。

日系企業の方から社員募集のお話をいただく際に、民族について聞きますがほぼ99%「中華系」の指定があります。

その背景としては、マレー系はML(傷病休暇)が多い。インド系は主張ばかり強く言われたことをしない。等の「印象」があるからです。

また採用代行を行っている側からすれば、面接設定をしても当日ドタキャン率が高いのは非中華系で、また入社日ドタキャンも残念ながら非中華系が圧倒的に多いです。

もしかしたら、既に差別を受けているので、企業側にどんなに迷惑がかかっても「知ったこっちゃない」的な感覚があるのかもしれません。

またせっかく採用に至っても、ある日系企業では店長から怒鳴られて、二日目からこなくなってしまったマレー系の方もおります。

初日は普通に働いていたにも関わらず、二日目から来なくなってしまいますと、採用経費を掛けた企業にとっても大打撃で、またマンパワーが足りなく困っているのはわかっているはずなのに、ちょっとでも「きつい」と感じ出社しなくなる感覚は日本から来られてお店を展開している方から見ると「理解不能」に陥ってしまいます。

またそのようなケースが多発しますと、コミュニティーの間でも「~系はやめたほうがいい」のような情報が広まること考えられます。

もちろん、活躍されているマレー系、インド系の方もたくさんおります。

とある進出日系企業のカフェではマレー系の店長を紹介しましたが他の民族の社員をよくまとめ、開店してから3ヶ月の間、離職者は1名だけと成功しているケースもあります。

採用する側の意識としては、「民族」ではなくあくまでもその人が持っている「能力」にスポットを当てて、継続性があるのかどうかを見極めるのは難しいかもしれませんが、少なくとも二日目から来なくならないような人材を採用する必要があります。

弊社斉藤連載中Daily NNA 2019年8月8日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋


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