第132回: なぜインタビューのドタキャンが起こるのか?
最近異常気象なのか、従来であれば「雨季」で雨が降り気温が下がる時期でもありますが、日差しが暑季並みに強く「あれ?」と思うこともしばしば。
やっと降ったと思えばお湿り程度で雨の少なさを感じます。
隣のマレーシアのジョホール州でも雨が降らず、シンガポールに水を供給する為のリンギウ貯水池の水量が50%を切り危機的状況であることが発表されました。
供給に問題がない水量は80%から90%となっており、シンガポールの生命線の一部が脅威にさらされています。
その結果、水道料金が上がることも予測されており、雨乞いではありませんが、12月の降水量が増えて貯水池の水量が上がることを期待します。
さて、最近では日系飲食業の他に日系流通業の進出も増えてきております。
東急ハンズはシンガポールに西(ジュロンWESTGATE)から東(チャンギ空港JEWEL)まで5店舗展開中ですし、ドン・キホーテ(シンガポールでは商標の関係上Don Don Donki)も今月ジュロン地区のJ CUBEのモールに6店舗目を出店します。
弊社では日系飲食業及び流通業の採用を代行しております。
店舗数が増えるに当たり、そこで勤務する従業員の確保は急務です。
採用するためにはまずは求人広告を出す必要があります。
高い出稿料金を出せばいい人材が集まるというわけではなく、いかに興味を引く募集内容なのかも問われます。
外国人の雇用もシンガポール人雇用比率を維持しなければならず供給は多いものの、採用できない状況が続いています。
また募集広告に「シンガポール人<のみ>と書いても、応募者の殆どがマレーシアやフィリピン等の外国籍の方であったり、中には国籍の欄にシンガポールと書いていても、連絡をすると実は違う国籍の方だったりすることもあります。
ようやく多数の応募者の中から<候補者>を見つけ、ご要望のあるポジションの面接をアレンジするのですが、候補者によってはそもそも<応募>したことを忘れているケースも多く、連絡をしてみると「は?」と言われるケースもたまにあります。
面接のアレンジは応募者の意思確認を入念に行い、前日もしくは当日にもWhat’s APP等のSNSでも確認メッセージを入れ、当日電話にてリマインダーを入れ応募者に面接日時を伝え確実に面接に来てもらえるように努力をします。
日本人の面接も行いますが、日本人の場合は遅くとも面接開始時間の10分前には来て待機するのが<常識>です。
シンガポール人の場合、面接時間前に来る方もいますが、大体はギリギリか5分ほど遅刻をするのが常です。
要するに時間に遅れることを罪と認識するかどうかだと思いますが、この点はシンガポール人の殆どが「罪」と思っていないでしょう。
とある日系企業は1分以上の無断遅刻を月に3回以上行った社員に対して、1日分有給休暇を消化させることにしました。
さて、そこまでして面接をアレンジしましたが、当日時間になっても一向に現れません。
もしかしたら道に迷っている(既に場所の説明もしている)のか?もしかしたら不慮の事故に巻き込まれているのかと思い、電話連絡を試みますが、着信音はなるものの「不在」になります。
履歴は残るはずですので、電話に気づいていればコールバックするはずですが全く掛かってきません。
要するに「ドタキャン」です。
人事としてはそのために時間をとっており、また事前の準備にもかなりの労力を費やします。
ではなぜ「ドタキャン」するのか?それはシンガポールにはまだ「職」が溢れているからでしょう。
どれだけ迷惑が掛かっているということはほとんど眼中になく1ドルでも高い仕事が見つかれば連絡もせずにそちらに行く。
SNSは進化していますが、人間としてのコミュニケーションが希薄になっているのが現状です。
弊社斉藤連載中Daily NNA 2019年11月28日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋
コラム執筆者

- プログレスアジア 代表取締役
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1966年東京生まれ。大学卒業後、小売・流通チェーン「ヤオハン」に就職。1993年より香港本社へ転勤後一貫して人事に携わる。同社清算後も大手人材紹介会社「パソナ」のタイ現地法人社長を務めるなど複数社で人事・経営に携わる。
2006年、タイ国立マヒドン大学経営大学院にて経営学修士取得後、シンガポールにグッドジョブクリエーションズを設立、2014年に同社売却。
2014年6月、シンガポールに、プロの人事集団「プログレスアジア・シンガポール」を設立。真に東南アジアでビジネスを展開する中小企業をサポートすることを使命に再び起業の道を歩む。
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