ようやく「雨季」に入り、シンガポールでは毎日雨が降るようになりました。

日照りはほとんどなく、家の中の洗濯物が湿っている感は否めません。

雨が降り続けているからか、気温が低めで夜になると22度台になり、「涼しい」というよりは「寒い」と感じます。

また外の気温が低いのに、オフィスビルの中の冷房はそのままで、PCを打つ手がかじかんでしまうほどです。

天気予報によると1月いっぱいまで「低温」状態は続くとのことで体調管理が肝要です。

さて、2019年も残す所あと僅かとなりました。

今年もシンガポールにおける人事に関する施策が数多くありました。

一番大きかったのは、4月1日より雇用法が改正されたことです。

今までは解雇に関しては特に大きな規制は設けておらず、「解雇のしやすさ」がシンガポールで経営を行う上での一つのアドバンテージでしたが、法改正ではこれが見直されました。

その背景には、労働人口の高齢化に伴い、失業から再就職できるまでの期間が日に日に長くなってきている事があげられます。

10年前に海外支社長をしていた50代の友人は突然会社の業績不振により解雇されました。

その後同ポジションでの仕事を探したものの見つからず、今流行りの通販の倉庫管理の仕事に就きましたが、歳の半分くらいの若手社員にこき使われ3日で辞めてしまいました。

改正雇用法では、この友人のような会社業績不振による解雇が「不当解雇」かどうかは示していません。

4月には、アメリカ企業のIBMがシンガポールにあるサーバーの製造拠点をニューヨークに移転することが明らかになり、約600人が解雇されました。

また製造業に関しては米中貿易摩擦等の影響により、人員整理が加速化しており、その中で解雇対象者となるのは50代の専門職・管理職・幹部・技術者(PMETs)層であり、一度職を失ってしまうと、再就職するのが容易ではありません。

何とか解雇を食い止めたいところですが、引き続き「解雇権」は経営側に根強く残っており、解雇の濫用はともかく、整理解雇に関してはなすすべがありません。

この他の改正雇用法の大きな変更点は、「全ての従業員」に適用範囲が広がったことです。

これまで有給休暇の付与や疫病休暇、不当解雇の給与保護などの規定は、月給4500ドル超のホワイトカラー層は対象外でしたが、改正雇用法ではホワイトカラー層も対象となります。

また、残業手当の支給対象については、従来の月給の上限である2,250ドルが2,600ドルに引き上げられました。

それまで残業代支給を必要としていなかった層にも適用されることがポイントとなります。

対策としては、2,600ドル以下で雇用している社員の給与を、手当を含め2,600ドル以上にすることです。

これにより残業手当を毎月計算しなくてもよくなります。

既に決定事項ですが、最近MOMからアラートメールが届きます。

その決定事項は「Sパス」に関する新規定です。2020年1月1日より、Sパスを取得する上での給与額が2300ドルから2,400ドルに引き上げられます。

また、Sパスを取得するためのシンガポール人及びPRの雇用比率が現行の15%から13%になり2021年1月1日からは10%となります。

これによりSパスの取得できる企業は限定され、取得数は劇的に減ることが予測できます。

これにより、既にSパスを取得して飲食店で勤務している外国人労働者はビザの更新ができなくなり、お店の経営にも影響が出てくるでしょう。

初老のシンガポール人男性がコーヒーを震えながら持ってくるカフェが弊社の近くにありますが、サービスを十分に提供できる土台がなくなるのではないかと危惧します。

シンガポール政府は8月、2030年までに定年を65歳、再雇用年齢を70歳に引き上げることを発表しました。

AIの導入が進み、単純作業が人間からマシンに変わる中で、どのように人々の雇用を守るのか、来年もまた人事に関する新しい施策が出てくることが十分考えられます。

2020年も人「財」羅針盤をどうぞ宜しくお願いいたします。

弊社斉藤連載中Daily NNA 2019年12月26日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋


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