最近の東南アジアの注目ニュースの一つとして、ASEAN(東南アジア諸国連合)の外務大臣の会合がラオスの首都ビエンチャンでありました。

参加者で目を引いたのは、憲法上、大統領になれなかったミャンマーのアウン・サン・スー・チーガ外務大臣として国際会議でのデビューを果たしたことがまずありました。

それから世界が注目しているオランダ・ハーグの仲裁裁判所が下した中国の南シナ海海域での主権を否定したことにより、共同声明を出せたかどうかが焦点でした。

親中国家のカンボジアが頑なに反対し中国の名指しでの批判は避け、「最近進行中の開発に深刻な懸念を示す」とやんわりと指摘した結果となりました。

何故カンボジアがここまで中国よりかといいますと一言で言いますと多額の経済援助、ようは「お金」です。昔のポルポト政権では中国とは敵対していたはずの国家が今の政権では中国の頼らざるを得ない状況が垣間見られます。

紛争等事国のフィリピン、ベトナムは当然、今回の判決の受入を迫りますが、ASEAN加盟10ヶ国の足並みが乱れていることが露呈されてしまいまいました。

中国の王毅外相が急遽参加し必死に他の中立国との個別会議をしていましたが、焦りの顔が伺えました。

さて、シンガポールでは昨日7月26日にMOM(人材開発省)より重大発表がありました。

ASEAN外相会議が終了したからではないと思いますが、2017年1月1日よりEP取得の為の最低月額給与が現行の3,300ドルから3,600ドルに約10%アップすることになりました。前回のアップは2014年1月1日の現行3,000ドルから3,300ドルへのアップでしたので3年ぶりの改定となります。

シンガポールのインフレ率はここ3年平均で1%もなく物価が上昇しているためではありません。理由としては、1)現地人の賃金上昇を促すため。2)より良質な外国人の流入を奨励するため。3)現地(シンガポール人)の雇用を促進させる。の3つで3年前の理由とほぼ同じで目新しさはありませんでした。

EP給与上昇

現在は3,300ドルで12月31日まではこの水準を維持するため、早期更新の駆け込み需要は年末に増えることも予想できます。

また今後シンガポールでの雇用と将来的な永住権を取得したいASEAN近隣諸国の若手社員は、シンガポールでの就職はさらに難しくなってきます。

最近オーストラリアで学位を取られたインドネシア国籍の25歳女性のシンガポールでの就職支援を行っていますが、シンガポールでの就労経験は皆無であることと、同等ポジションでの現地シンガポール人との給与相場を鑑みますと、やはり2,000ドル代後半での就労パス申請になります。

5,6年前であれば2,800ドルがEP取得の為の最低給与でしたのでEP取得が可能で、現に、シンガポール人を雇用するよりは一生懸命働く、近隣のマレーシア人やインドネシア人、ベトナム人の採用を好む日系企業も少なくはありませんでした。

ついこないだまで、Non-Singaporean Preferable(シンガポール人以外歓迎)のような求人広告が出るようになり、大問題に発展し、シンガポール政府は求人広告の差別事項として急遽「国籍」を加えたのも、シンガポール人の雇用状況が悪くなってきた背景もあります。

また、最近ではPMEいわゆる40台後半から50台の管理職層の再就職率が著しく低下し外国人雇用の給与ハードルを上げる事により、これらの層の再就職を促進する狙いもあると思います。

日系社会で見ますと、日本での正社員での採用状況が有効求人倍率の上昇(1.36)に伴い劇的に改善されました。その結果、海外で仕事を探す人材が減り、逆に日本にUターン就職するシンガポール在住者も増えてきました。今後の動きに注目です。

Daily NNA 2016年7月28日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋


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