先週の土曜日11月5日、インドネシアの首都ジャカルタで最近では見られなかった大規模デモが起きました。ことの発端は、中華系のキリスト教徒であるバスキ(アホック)・ジャカルタ特別州知事がイスラム教の聖典「コーラン」の教えに関して発言したことが「イスラム教を侮辱した」と捉えられたことです。

この発言は地方を訪れた際に同氏が住民の前でスピーチしたものを、一部の住民がSNS(ソーシャルメディア)を通じて拡散したことにより、大きな波紋を呼び、各イスラム教団体から反発の声が上がりました。

インドネシアは、西はアチェから東はイリアンジャヤ(パプアニューギニアの左側)までかなり広大な国土を持っており、当然多民族国家であり、200以上の言語が存在すると言われているのと同様に宗教も多様です。人口比率的にイスラム教徒が全体の8割以上をしめますが、中東のようにイスラム教を「国教」とはしておらず、憲法29条で信教の自由を保障しています。筆者の妻は敬虔なキリスト教徒(プロテスタント)であり、親戚の中には熱心な仏教徒もいます。

インドネシアをあまり知らない方々は、インドネシアは中華系以外のいわゆる「プリブミ」(土地の子=原住民)は全員イスラム教徒とくくりたがる傾向がありますが、1割以上約13%がキリスト教徒(プロテスタントとカトリックを合わせた数)であり、最近ではキリスト教徒の「プリブミ」も多数います。

筆者の非中華系のインドネシアの友人はキリスト教徒で、結婚しようと思っている女性はイスラム教徒ですが、どちらかの宗教をいずれかの宗教に改宗しないと結婚は認められないということを親族からも言われ続け、当人達も改宗はできないということで、結婚にはいたらなかったケースも実際にあります。

インドネシアの他にも東南アジア全域では様々な宗教が複雑に分布されており、仏教国であるタイやミャンマーでもイスラム教徒が存在し、大多数である仏教徒がイスラム教徒を迫害するような事も起きており、我々日本人が想像する以上にデリケートかつ今回のジャカルタでのデモが一部暴徒化するように、ちょっとしたきっかけで国の治安悪化や経済損失にもつながりません。

モスク

シンガポールでも、民族・宗教を理由にした採用条件は違法です。ただ、実際当地の日系企業の採用案件をヒアリングしておりますと、中華系でイスラムでない人おと露骨な要望点が出てきます。

以前、日本語が大変流暢なイスラム教徒が日系の造船関連の会社で働いていましたが、仕事中に「お祈り」を何度もすることに経営者が「回りとのバランス」が悪くなるとの理由で試用期間中ということもあり、結局は正社員での登用を見送られたケースがありました。

しかし周囲のシンガポール人はおそらくさほどは気にしていなかったのではと思います。というのはシンガポールでは他民族・他宗教に関しては「非干渉」の立場を取るからです。

最近、筆者の自宅がある集合住宅では、階下の集会スペースで「冠婚葬祭」の行事が開かれていますが、同じ場所を様々な宗教(宗派)の人が利用しています。これに対して文句を言う人はいません。

「信仰の自由」はどこの東南アジア各国では認められていますが、それを批判したり排他的なったりすると、「一触即発」の状態になる危険性を秘めています。東南アジアで生活し、また社員をマネージメントしていく上では、こうしたことを基礎知識として持っておくことが重要です。

Daily NNA 2016年11月10日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋


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