第140回:新型コロナウィルスに関する最新規制事項、会社としてすべき事

新型コロナウィルスの感染拡大は凄まじく、今日の段階で感染者数が世界で30万人を超える「パンデミック」状態が続いています。

日々というよりは毎時間各国の対策が刻々と変化していっております。

経済的な影響も甚大で、東南アジア各国の観光業、とりわけタイに関しては大打撃でGDPの20%近くを観光業が占めており、このまま影響が続きますと数十万人のタイ国民が失業すると予測されています。

また観光業以外でも飲食業、イベント業界、留学やインターンを扱う業者など、数えたらきりがないほどの多くの業種に大きな影響を及ぼしています。

シンガポールにおいても感染者数は500名を超えており、居住している身としては世界各国と比較すると、シンガポール政府の感染予防の水際対策は先手先行の政策により抑えられているとも感じます。

その最近の「先手」の政策として、また驚くべきニュースが昨晩(3月25日)飛び込んできました。

その内容は多岐に渡り「SINGAPORE TOLIMIT GAHERINGS to 10 PEOPLE OR FEWER」とのタイトルで、1.バーやナイトクラブ、映画館、劇場、カラオケは全面閉鎖する、2.ショッピングモール、博物(美術)館やその他アトラクションは1人当たり4m方のスペースを確保すること、同じ場所に10人以上いてはならない、もしこれらの条件をカバーできない場合は閉店しなければなりません。

また、3.学習塾では集団のクラスを中断する、4.宗教礼拝施設である寺院、モスク、教会での礼拝は個人で行う、5.全てのイベント、会議、展示会、フェスティバル、コンサート、競技場、交易会は延期もしくはキャンセルする、6.誕生日や結婚式等の祝い事は10人以上集まらないようにする、7.葬式はできるだけ家族のみで10人以上集まらないようにする、8.職場では既存の措置の継続、の8項目を3月26日の23時59分より(実質3月27日の金曜日から)発動します。

イベントに関しましては、3月31日から4月3日まで行われる予定でしたFHA(FOODHOTEL ASIA)2020が来年に延期になり、弊社ではこのイベントの人員配置のお手伝いをさせて頂く予定でしたので、全てがキャンセルになり、この部分での機会ロスが生じております。

全体のイベントを取り仕切る弊社と提携している会社の責任者も世界的な展示会の全面的なキャンセルにより大打撃を受けており、雇用調整を取らざるを得ないと嘆いておりました。

とにかく集団感染をなんとか防ぎたいとの政府の必死の施策なので上述1から7の事項は既に実質守っているように感じます。

弊社の顧客でもこの施策が出る前から「これじゃ飲み屋にも安心して行けないよ」と冗談交じりに言っておりましたが、全面閉鎖となり完全に行くことはできなくなりました。

上述8.の職場に関しては、既にMOMから各雇用主に通達があるように、一日2回検温をすること、風邪の症状が見られる場合は直ちに退社させること、など社員の健康管理を徹底するように指示されています。

その他の対策としては、社員を2つのグループに分けて出勤させることや、在宅勤務(テレワーク)に切り替える等、既に通常の業務ができなくなってきている状況の下で、会社としては「まだ大丈夫」ではなく、このままだと「社内感染が出てしまうかもしれない」と危機意識を高める必要性が高くなっています。

弊社も明日よりテレワークと分散出勤を行います。

東京五輪・パラリンピックも来年の夏までに延期されることが決まりましたし、とにかく今はこの厄介な新型コロナウィルスが収束し全ての経済活動が開始されることを期待するしかありません。

今は各社としてもできる限りの対策を取る必要があります。

弊社斉藤連載中Daily NNA 2020年3月12日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋

コラム執筆者

斉藤 秀樹
斉藤 秀樹プログレスアジア 代表取締役
1966年東京生まれ。大学卒業後、小売・流通チェーン「ヤオハン」に就職。1993年より香港本社へ転勤後一貫して人事に携わる。同社清算後も大手人材紹介会社「パソナ」のタイ現地法人社長を務めるなど複数社で人事・経営に携わる。
2006年、タイ国立マヒドン大学経営大学院にて経営学修士取得後、シンガポールにグッドジョブクリエーションズを設立、2014年に同社売却。
2014年6月、シンガポールに、プロの人事集団「プログレスアジア・シンガポール」を設立。真に東南アジアでビジネスを展開する中小企業をサポートすることを使命に再び起業の道を歩む。