第36回 東南アジアの商談スピード

最近ようやくヘイズ(煙害)が終息しつつあります。水と空気がないと人間は生きていけないですが今回は長期に渡りUNHEALTHYな状態が続いていましたので、毎日の様に見ていたPSI(大気汚染指数)が50台で推移しているのを見ますと一安心します。

最近では「雨の匂い」のしない降雨が頻繁にあり、一部では「人工雨」との報道があります。この「人工雨」は中国が北京オリンピックの際に空気を綺麗にするために取り入れましたが、シンガポールでも不自然な雨が続きました。これも一向に収まらないヘイズ対策の一環であったことが伺えられます。

oishiijapan

先月の中旬に食品の展示会「Oishii Japan」がありました。今年で4年目になり、会場には各都道府県のブースの出店が目立ちました。

エントランスカードの裏を見ますと、協賛は農林水産省、日本貿易振興機構(ジェトロ)、観光庁、在シンガポール日本大使館などが後援しており日本の政府もいかに「日本の食」を東南アジアで売り込みたいか、また日本への観光誘致を促すかで2日間のビジネスデーと最終日の一般物販デーの3日間の大規模展示会でした。弊社は北海道の会社のブースの通訳を派遣しました。

農林水産省によりますと、日本の農林水産物の・食品の輸出額全体の17%がASEAN(東南アジア諸国連合)向けで、さらなる日本食材の輸出拡大を狙いたいとの事です。

とにかく、市場が縮小していく日本から日本食に馴染みの深いアジア、とりわけ東南アジアでの商圏展開を考える出展者の気合と熱意を感じました。

全体を見回していますと、「お茶」や「お酒」の出店が目立ちました。東南アジアでは「MACCHA」が大分浸透しており、マッチャ・アイスクリームはデザートの定番になりつつあります。

但し「お茶」関しましては「ビター」の印象が強く、タイではお茶に「何か甘いもの」が入っていないと飲みません。タイでは「レモンハニー」や「ブルーベリーハーブ」の「お茶」がコンビニで売られています。既に「お茶」ではないですが・・・。

さて、落ち着いて展示会場を見ると、マグロの解体ショー、各ブースでの試食、司会を挟んだ出展者からのトークショーとお祭り的な雰囲気・活気に溢れていました。

長野県松本市から父娘で経営している餃子の商品は肉の代わり鮭の肉を使っており、味も食感も抜群で肉餃子と変わりませんでした。

問題はこのような商品をいかに売るかです。とあるブースでは、買い付けに来たバイヤーさんと商談をする際に通訳を介するのはいいのですが、先ずは本社に相談してから・・・、英語のオーダーシートがないので・・・と「先送り」するケースも幾つか見受けられました。

現地のバイヤー達は「買い付け」に来ていますのでここで「肩透かし」を食らってしまいます。基本的にはトップダウン的な商談が多く、5W2H(いつ、どこで、だれが、なにを、いくらで、どのように)で動いています。

弊社が受け持ちました企業は、物販の最終日に社長自ら店頭に立ち売り込みを致しました。

トップVSトップの商談ですのでとあるバイヤーの買い付けにすぐに英文で用意されたPO(発注書)にサインをもらい、支払い条件を設定し次の日に納品をする約束をしました。

日本企業の場合は親子経営の会社や社長が陣頭指揮を取る会社であれば「即決」できますが、決済権限がない場合は商機を失いかねません。

東南アジアでのバイヤー達は、売れると判断した商品をいち早く入れたいと思っていますので、そこで「タイム・ラグ」が発生しまわないよう「現地のスピード」「商習慣」に合わせていくことが重要だと思います。

Daily NNA 2015年11月5日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋

コラム執筆者

斉藤 秀樹
斉藤 秀樹プログレスアジア 代表取締役
1966年東京生まれ。大学卒業後、小売・流通チェーン「ヤオハン」に就職。1993年より香港本社へ転勤後一貫して人事に携わる。同社清算後も大手人材紹介会社「パソナ」のタイ現地法人社長を務めるなど複数社で人事・経営に携わる。
2006年、タイ国立マヒドン大学経営大学院にて経営学修士取得後、シンガポールにグッドジョブクリエーションズを設立、2014年に同社売却。
2014年6月、シンガポールに、プロの人事集団「プログレスアジア・シンガポール」を設立。真に東南アジアでビジネスを展開する中小企業をサポートすることを使命に再び起業の道を歩む。