第147回:6月の減給措置について
シンガポールは今週の金曜日7月10日に総選挙があります。
議席は全部で93議席あり、リー・シェンロン首相率いる与党である人民行動党(PAP)が常に圧勝で、議席の9割以上を占めています。
野党もいくつかありどれだけ議席を取れるかが焦点になっています。
特に注目を集めているのがリー首相の弟のリー・シェヤン氏が新興野党である前進党(PSP)に加わったことです。
シェンヤン氏は出馬しませんでしたが、PSPは議席を取れるかどうかです。
先週の日曜日は各党の宣伝カーが市内を回っていましたが、新型コロナの影響で集会は禁じられているため、同じ場所には10分程度で移動をしており、盛り上がりはあまり感じられませんでした。
総選挙の投票日7月10日は「公休日」となっており、会社的にも「お休み」となります。
投票時間も2時間枠で決まっており、基本国民全員が投票に行くことがほぼ義務付けられています。
会社としてはシンガポール国民以外の社員の扱いをどうするのか悩みどころでしたが完全に公休扱いなので出勤させる場合は「代休」もしくは祝日出勤扱いにしなければなりません。
弊社の顧客である飲食業や流通業は、シンガポール国民以外のマレーシア国籍の社員を出勤させ、シンガポール人の穴を埋めます。
さて、フェーズ2が先月19日に解禁となりようやくモールの中のお店が開くことができました。
その結果自宅待機を2ヶ月以上余儀なくされていた小売店の従業員も戻ってきました。
弊社の顧客である流通業の場合、政府のJSS(JOB SUPPORT SCHEME)でパートタイムを除き正社員は退職者がほぼ出ませんでした。
「自宅待機」が仕事でしたので、給料が支払われている以上、退職する必要性はなかった為です。
4月~5月のJSSは緊急事態ということもあり政府から給与の75%が支給されることが決定され、一部では100%支給されるケースが見られました。
しかしながら、PHASE2移行が決定され、政府から6月のJSSの話が選挙の為か全く動きがなく、弊社にもどうなっているのかと問い合わせがありますが、目新しい情報はありません。
ある日系企業の場合は、6月18日までは給与の80%、フェーズ2解禁の19日の開店日から月末30日までの期間シフトで勤務できた社員には100%、この期間中、自ら他の休暇を申請した場合は80%、有給休暇を申請した場合は100%支給というルールを作成しました。
そうすると、各々様々な反対意見が出てきました。19日までに自宅勤務で仕事をしていたので100%支給では?と言い張るスタッフも出てきており、説明に苦慮しました。
シンガポールの場合、減給に関しては、給与額と労働ビザが連携している外国人を除いては、本人の合意があれば可能です。
今回はコロナの影響で売上も激減しており、その中でも雇用を維持するためには、20%の減給は致し方ないことで、大抵の従業員は理解してくれました。
個人で飲食店を経営している知人は6月のJSSの支給額が決定されないと従業員に給与が払えないと困窮していました。
おそらく筆者の予想ですが、18日までの分を75%、20日以降は50%(飲食店の場合)で按分支給するのではと思います。
今週は選挙モードでJSSのことなど後回しにしている感じは否めませんが、明日にでも潰れそうな飲食店や小売店があることを覚えて頂きたいものです。
弊社斉藤連載中Daily NNA 2020年7月9日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋
コラム執筆者
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1966年東京生まれ。大学卒業後、小売・流通チェーン「ヤオハン」に就職。1993年より香港本社へ転勤後一貫して人事に携わる。同社清算後も大手人材紹介会社「パソナ」のタイ現地法人社長を務めるなど複数社で人事・経営に携わる。
2006年、タイ国立マヒドン大学経営大学院にて経営学修士取得後、シンガポールにグッドジョブクリエーションズを設立、2014年に同社売却。
2014年6月、シンガポールに、プロの人事集団「プログレスアジア・シンガポール」を設立。真に東南アジアでビジネスを展開する中小企業をサポートすることを使命に再び起業の道を歩む。
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