第149回:シンガポール入国に関する注意事項(その2)
シンガポールでは8月9日に建国55周年を迎えました。
通常は夕方に始まり、各団体のパレード、最新軍事車両、救急車両のお披露目があり、毎年観覧する国民で満席になる、ウォーターフロント特設会場でシンガポール国民により祝福されるのが通常でした。
ただ今年は新型コロナウィルスの拡大により、いわゆる「無観客」で式のみが粛々と午前中に行われました。
例年と違ったことは、F-15SG戦闘機が医療従事者に感謝の意を伝えるため、新型コロナウィルスの治療に携わった病院の上空を飛んだことです。
いつもは夕方でしたが今回は午前中の快晴の空を飛んでいたので新鮮でした。
シンガポールの総感染者数はたしかに5万人を超えておりますが、6月19日以降フェーズ2になり飲食店や小売店がほぼ全面再開されましたが、市中感染は一桁で抑えられており、抑制されている安心感はあります。
外国人観光客は引き続きシャットアウトしており入国制限をしていますが、ビジネスでの訪問や就労ビザ保有者とその家族の帯同は条件を揃えれば入国ができます。
7月中旬からの大きな変更点は、日本・香港・オーストラリアのビクトリア州への渡航歴がある人に対して、入国後任意の滞在先でのSNH(ステイ・ホーム・ノーティス)ができなくなり、シンガポール政府が指定した隔離先に強制的に入らなければならなくなったことです。
またそのコストが14日間で2,000ドルと限定しており、コストカットを目的とした1泊70ドルのところで1,000ドルを超えないような工夫はできなくなります。
隔離先というと少々マイナスなイメージですが、観光客の激減で苦しむホテル業界を援助する意味で、いわゆる4つ星以上のホテルに「隔離」されます。
弊社の顧客の場合はオーチャードロードにある「リージェントホテル」でした。
このホテルは通常でも1泊200ドル以上はするので、「お得感」はあります。
しかしながら部屋の外には一歩も出ては行けないことから、最初の3日間で息が詰まってくると言っていました。
SHN期間で一番困るのは「食事」です。
ホテルのルームサービスを頼むことも可能ですが、その場合割高になってしまいます。
フードデリバリーのサービスは充実しており、大抵の食事はそれぞれの好みに応じて注文することができます。
しかしながらこちらも3日ほどで飽きてきて、食べることが億劫になってしまい弊社の顧客の場合、運動不足の割には体重が3kg減ってしまったとのことです。
入国前にしなければならないことは、ENRTY APPROVALの申請です。
最近では却下されることはありませんが、この認可がないとそもそも飛行機に乗れません。
また以前では、機内で白い紙「Disembarkation Card」を渡され、ペンで記入をしてイミグレーション到着時に提出しその半券を出国まで保管していましたが、それがいつの間にか電子化され、SG ARRIVAL CARDとなり事前の申請が必要です。
ただまだあまり浸透されていないため、知らない人は到着時に係員から端末を渡されその場で入力を求められます。
一連の申請で一番厄介なのはシンガポール滞在先での「電話番号」です。
そもそも日本の場合はスマホがSIM フリーでない端末もまだありますし、またシンガポールの番号を日本で獲得するためには、在住者の名義でプリペイドSIMカードをコンビニで購入する必要があります。
その番号でSHN期間中政府の担当者からの連絡を受けなくてはならず、外に出ていないことを証明する必要があります。
今回のコロナウィルスの影響で「人の流れ」が完全に停滞していますが、14日間の隔離を覚悟してまでシンガポールに入国する人は無条件で入国を認めるべきだと思います。
弊社斉藤連載中Daily NNA 2020年8月13日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋
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コラム執筆者
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1966年東京生まれ。大学卒業後、小売・流通チェーン「ヤオハン」に就職。1993年より香港本社へ転勤後一貫して人事に携わる。同社清算後も大手人材紹介会社「パソナ」のタイ現地法人社長を務めるなど複数社で人事・経営に携わる。
2006年、タイ国立マヒドン大学経営大学院にて経営学修士取得後、シンガポールにグッドジョブクリエーションズを設立、2014年に同社売却。
2014年6月、シンガポールに、プロの人事集団「プログレスアジア・シンガポール」を設立。真に東南アジアでビジネスを展開する中小企業をサポートすることを使命に再び起業の道を歩む。
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