第181回:新たな変異株(オミクロン株)への対策

11月末までは、世界各国で「ウィズコロナ」下での経済活動の正常化に向けた動きが加速していました。ただ南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が発生し、12月に入って世界中に衝撃が広がりました。

まだわかっていないことも多くありますが「未知のウイルス」への恐怖心が芽生え始めてきています。特にワクチンを2回接種しても感染する「ブレークスルー」感染が増えていることが、不安に拍車をかけています。

シンガポール政府は、南アフリカとその周辺国から渡航する外国人に対し、入国・乗り継ぎを禁止する措置を取りましたが、既にオミクロン株の感染者数人を確認したと発表がありました。幸い、8日時点で国内での行動規制に関する変更はなく、ワクチン接種者は同一グループで最大5人まで店内飲食が可能です。筆者も含め、沈静化している今だからこそ忘年会などの集まりをしておこうという動きは周りで広がりつつあります。

しかし、感染が深刻化して重症者が増えれば、新たな規制の発表があるかもしれません。感染拡大などの不安材料はあるものの、11月29日からシンガポール・マレーシア間でワクチン接種者を対象に隔離なしでの入国を互いに認めるVTL(ワクチントラベル・レーン)の運用が始まりました。

12月8日には、弊社のマレーシア人スタッフが2年ぶりに実家のあるマレーシア・ジョホール州ジョホールバルに帰りました。実家の家族もまだ20代の彼女に会いたがっています。望郷の念は世界共通ですが、コロナ禍前なら1時時間程度で国境橋を渡って帰省できたのが、過去2年間それができなかったのは辛かったと思います。できるだけ早く家族と再会できるよう、新たな出入国規制が発表される前の「今のうち」に帰省を認めました。

弊社としては、マレーシア人スタッフに引き続き遠隔勤務をしてもらいます。考えてみれば、これまで月の半分は在宅勤務でした。ジョホールバルに行っても同様の仕事ができる体制があれば、有給休暇と組み合わせながら職務遂行は可能となります。仕事のルールとしては、基本的に月曜日と木曜日は社内全体でZOOMでのミーティングを開き、やるべき仕事を整理しながら、業務管理を行います。

シンガポールでは現在、EP(就労ビザ)の取得が難しいため、ある日系企業では日本人をマレーシアに異動させ遠隔で仕事をさせていました。ただ、マレーシア政府も自国の雇用を守るため、EP(雇用パス)の発給条件の厳格化を検討しています。

このほか、年末年始を日本で過ごそうとする日本人も増えています。一時期は日本政府が水際対策を強化するため、国際線の新規予約の停止を航空会社に要請しましたがすぐに撤回されました。オミクロン株の感染対策に追われていることがうかがえます。

弊社の日本人スタッフは配偶者と共に12月中旬に一時帰国し、年末年始は日本でゆっくり過ごそうと計画しています。シンガポール入国後の待機措置を自宅で受けられるようになったため、早い時期に航空券を予約しました。シンガポールに戻ることができる入国許可証も無事に取得しました。

一番恐れているのはシンガポール入国時に水際規制が強化されることです。そうならないようになんとか感染が収束に向かってほしいものです。

弊社斉藤連載中Daily NNA 2021年12月9日号「東南アジア人「財」羅針盤」より抜粋

コラム執筆者

斉藤 秀樹
斉藤 秀樹プログレスアジア 代表取締役
1966年東京生まれ。大学卒業後、小売・流通チェーン「ヤオハン」に就職。1993年より香港本社へ転勤後一貫して人事に携わる。同社清算後も大手人材紹介会社「パソナ」のタイ現地法人社長を務めるなど複数社で人事・経営に携わる。
2006年、タイ国立マヒドン大学経営大学院にて経営学修士取得後、シンガポールにグッドジョブクリエーションズを設立、2014年に同社売却。
2014年6月、シンガポールに、プロの人事集団「プログレスアジア・シンガポール」を設立。真に東南アジアでビジネスを展開する中小企業をサポートすることを使命に再び起業の道を歩む。